半導体を語ろう~素人から見たクロック数競争~
こんにちは。
4回目の投稿になります koma です。
今回はIntelとAMDのCPUクロック数競争についてまとめようと思います。
IntelとAMD
1999年頃から半導体メーカーであるIntelとAMDの競争が際立ってきます。
IntelはPentiumⅢを、AMDは独自CPUとして初めてとなるAthlonを発表します。
とは言え、AMDのシェアは1999年Athlon投入前で12%、2001年第1四半期(クロック数1GHz到達時)で22%程度でした。
【引用元】アスキー×デジタル
Intelのシェアのほうが遥かに大きかったのですね。
クロック数1GHz到達までの道
【引用元】Pexels
クロック数とは動作周波数のことです。
例えば1GHzだと1周期の長さが1ナノ秒(1秒間で10億回揺れる)を表します。
1秒当たりの発振回数が多いと性能が高いとされており、より性能が高い(クロック数が多い)ほうが”売れる”と考えられていました。
そこでIntelは、クロック数500MHzを超えるPentiumⅢ発表します。
遅れてAMDが500MHzに追いつくAthlonを発表しました。
以降は、ソケットやカセットタイプ、拡張命令の追加など試行錯誤を繰り返しながら開発競争をします。
そして、2000年にはAMDが先にクロック数1GHzに到達します。
その3か月後にはIntelがそれに続きます。
高クロック数のメリット/デメリット
ところで、クロック数が高いと、どんなメリット/デメリットがあるのでしょうか。
メリットは、当然ながら発振回数が多いため処理速度も速くなるという点です。
デメリットは、発熱することでした。
この頃、クロック数に対して、SIMD(並列処理)の量で性能の高さを判断するという考えが目立ってきました。
メリットは、1クロックあたりのSIMD(並列処理)の量が増えれば処理速度が上がる点です。
そのため、クロック数が高くなくても性能を高くすることができるというものでした。
逆にデメリットは、新製品開発の際にはアーキテクチャを全て作り直すため設計が難しい点です。
また、やはり性能が高いと発熱するという点でした。
クロック数競争の終わり
【引用元】Pexels
ここまでクロック数を高めようとするのは、それが”性能が高い”と市場に認識されているため製品が”売れる”からでしょう。
IntelはPentiumⅣを発売します。
性能は高いものの発熱問題などで、モバイル版の採用例は少なかったようです。
ハイパースレッディング(仮想のデュアルコア)も性能はいいものの、発熱する。
特にPrescott(開発コード)は発熱がひどいたためトラブルが多かったようです。
比べてSIMD(並列処理)の量が多いタイプのCPUとして、AMDはAthlonXPを発売します。
Intelほどではないものの、やはり性能が上がると発熱が高くなりました。
また、市場の認識とズレがあるため販売数が伸びませんでした。
そこでAMDは、「周波数は低くても処理速度はIntelと比較してこのくらいは出るよ」という事を表す「モデルナンバー表記」に変更します。
例えば、「PentiumⅣ 2.8G」「PentiumⅣ 3.2G」に対して、「Athlon 2800+」「Athlon 3200+」としました。
このあたりから、クロック数競争は徐々に終息していきました。
余談
発熱の話をよく聞きます。
発熱が高いCPUの場合、液晶一体型や省スペースPCは冷却空間が狭いため、CPUクーラーが脆弱だとPCが止まりました。
また初代Athlonのサンダーバード(開発コード)も発熱が高く、安全装置回路がありませんでした。同様にCPUクーラーが脆弱だとコアが焼けて壊れてしまい「(高かったのに)”焼き鳥”つくっちゃったよ~」と嘆いたそうです。
おしまい。
ここまで読んでいただきありがとうございました。