ソフトウェア品質特性を調べてみた8~移植性~

前回の続きで今回は「移植性」についてまとめます。「移植性」はソフトウェアを別の利用環境にうまく移行できるかの度合いです。

解説記事はこちら

ソフトウェアの「品質特性」とは?8つの品質特性と31の品質副特性を詳しく紹介

「移植性(Portability)」には主に3つの品質副特性がありますが、上記サイトを参考に「拡張性」も含めた4つの観点を挙げます。

  • 適応性(Adaptability):ハードウェア、ソフトウェア、周辺機器などが異なる環境でも、設定や手順によってどれだけ柔軟に適応できるか
  • 拡張性(Scalability):ユーザー数やデータ量の増大に対して、リソースを追加・調整することで処理能力を柔軟に拡張できるか
  • 設置性(Installability):所定の環境へ効率的にインストール(配置)やアンインストール(削除)ができるか
  • 置換性(Replaceability):別のソフトウェアや機器との置き換えがスムーズに行えるか

今回も、イメージしやすいように例を考えてみます。

種類副特性テスト観点の例
ECサイト適応性スマートフォンの新OSやブラウザのアップデートに対し、ソースコードの修正に依存せず、運用担当者が手順通りに設定を調整するだけで適応すること新OSや新ブラウザの環境において、開発者の介入(ソースコード改修)なしに、マニュアル記載の設定手順のみでシステムが正常動作することの確認
拡張性セール等でユーザー数やトランザクション数が急増した際、サーバーのリソース追加やクラウドの設定調整により、性能を落とさずに対応できることサーバー台数やリソースを増強させた状態で高負荷をかけ、アクセス集中時でもページ表示速度や注文処理能力が仕様通りに維持されることの確認
設置性姉妹店などの新規ECサイトを別のサーバーに立ち上げる際、複雑な手動操作を挟まず、自動インストーラーや設定ファイルの配置だけで効率的に起動・削除できること開発者ではないテスターが、提供された手順書や画面の指示に従うだけで、エラーなく環境の配置およびクリーンアップ(削除)を完了できることの確認
置換性基盤となるデータベースを別の製品に置き換える際、データ移行がスムーズに行え、移行後もサイトが正しく動作することデータベース製品を置き換えてデータを流し込んだ後、既存のユーザーアカウントで正常にログインでき、過去の購入履歴が崩れずに閲覧できるかの確認
求人サイト適応性企業側が導入しているPC環境や周辺ソフトが異なる場合でも、企業の担当者やユーザーが手順通りに設定を行うだけで、管理画面が正しく動作すること企業側を想定した異なるOS環境や標準的なブラウザ制限下において、専門家に依存せずマニュアルの指示通りに初期設定を行い、応募者管理機能が問題なく利用できるかの確認
拡張性掲載求人票や応募者数が急増した際、データベースの構成変更や設定調整により、処理能力を調整し問題なく対応できることデータベース内の求人データを大量に増大させた(またはリソースを調整した)状態で検索・応募を試行し、レスポンス時間が劣化しないかの確認
設置性企業ごとに専用の求人サイトを構築する際、必要な構成要素が所定の場所に効率的に配置され、不要になった際の削除もスムーズに行えること手順書に従ってサイトの配置、および削除を行い、無駄なデータや不要ファイルがサーバー内に残らず初期状態(クリーンな状態)に戻せるかの検証
置換性サイト内で使用している地図APIなどを別の製品に切り替える際、サイト全体の構成を壊すことなく、スムーズに置き換えが行えること外部連携システムを別の製品に切り替えた状態でテスト応募等を行い、ユーザー側の操作感や既存の応募管理データに不具合・不整合が生じないかの確認

今回は概念が具体的だったため、例をイメージしやすかったです。次回は最後「安全性(Safety)」についてまとめます

余談

アイキャッチは、生成AIによるこのブログのイメージ画像です。かわいい画像ができました。