ISTQBの新規格「CT-GenAI(Testing with Generative AI)」の概要を調べてみた

AIを活用したテスト作成の盲点や注意点について調べていたところ、国際的なソフトウェアテスト資格認定機関であるISTQBに「CT-GenAI(Certified Tester – Testing with Generative AI)」という生成AIに特化した資格・規格があることを知りました。今回はこのCT-GenAIについて調べた結果をまとめてみます。

CT-GenAIの位置づけと既存規格(CT-AI)との違い

ISTQBのAI関連資格には「CT-AI」と「CT-GenAI」があり、それぞれ検証の対象が明確に分かれています。

  • CT-AI(AI Testing):自動運転システムなど、AIを組み込んだプロダクト自体の品質検証手法を扱う(テスト対象=AI)
  • CT-GenAI(Testing with Generative AI):ChatGPT等を「テスト業務のツール」として活用する際の手法、プロンプト設計、リスク管理を扱う(テストツール=AI)

CT-GenAIは、テストケース生成やテストコード作成において、生成AIの出力を適切に制御・評価するための知識体系となっています。

シラバスの構成(全5章)
章章タイトル主な内容
1生成AIの基礎
(Generative AI Fundamentals)
大規模言語モデル(LLM)などの仕組み、出力の不確実性、誤情報を出してしまう「ハルシネーション」のメカニズムを解説
2テストのためのプロンプトエンジニアリング
(Prompt Engineering for Testing)
条件抽出や制約の与え方、出力改善のコツなど、テストに特化したプロンプト設計を学ぶ中心的な章
3リスク、倫理、およびデータプライバシー
(Risks, Ethics, and Data Privacy)
機密情報の漏洩防止、知的財産の保護、AI出力を人間が確認する「Human-in-the-loop(AIの出力を人間が必ず確認・判断するプロセス)」の体制づくりを整理
4テストにおけるAIの応用
(AI Applications in Testing)
テストデータ作成、自動化スクリプト補完、バグレポート作成のサポートなど、現場での活用範囲と限界を整理
5導入と組織の適応
(Adoption and Roadmaps / Organizational Readiness)
ツールの選び方やルールづくり、テスターのスキル変化など、チームや組織に生成AIを取り入れるガイドライン
日本国内(JSTQB)における現在の対応状況

現在、日本国内の運営主体であるJSTQBでは、CT-GenAIの日本語版シラバスや試験はまだ提供されていません。国内で受けられるAI関連資格は、現時点では「CT-AI」のみとなっています。新しいシラバスの日本語化には翻訳や確認作業などの準備期間が必要なため、公式な発表はこれからという段階のようです。

まとめ

英語の原文資料を読み込むことまではできていませんが、概要を調べるだけでも「世界でどのような生成AI活用の基準が議論されているのか」を知るきっかけになりました。今後JSTQBから日本語版が提供されるのを楽しみにしたいと思います。

■ 参照・引用元

  1. CT-GenAI(Testing with Generative AI)関連情報
  2. CT-AI(AI Testing)関連情報
    • サイト名: JSTQB(日本ソフトウェアテスト資格認定ボード)
    • 参照ページ: JSTQB 認定テスト技術者資格 シラバス
    • 概要: JSTQBで提供されている日本語版「AIテスト(CT-AI)」シラバスに関する公式情報。